マッチングアプリでの怪しい勧誘は、「やり取り開始から数日以内」「LINEなどアプリ外への誘導」「お金や投資の話」というサインに早く表れます。相手を疑った経験がある223名への調査では、約66%が1週間以内に違和感を覚え、手口は副業・もうけ話(34.98%)と投資(33.63%)が特に多く挙がりました。一方、怪しい相手を運営に通報しなかった人は約55%にのぼり、実際に金銭被害に遭った39名のうち約64%は被害額を取り戻せていません。本記事では、怪しい勧誘のサインと気づいたきっかけ、通報・被害・回収の実態を調査データで整理し、早く気づくための着眼点と、被害に遭った際に取りうる対応や相談先についても整理します。

マッチングアプリで相手を疑った223名、多くが数日以内に違和感

本調査は、マッチングアプリでやり取りをした相手を「詐欺やあやしい勧誘ではないか」と疑った経験がある300名のうち、実際に怪しい相手がいたアプリがあると回答した223名を中心に、いつ・何をきっかけに違和感を覚え、どう対応し、どのような被害・回収に至ったのかを整理したものです。全体像を先にまとめると、怪しい勧誘の多くは「数日以内・アプリ外への誘導・お金や投資の話」というサインに早く表れる一方、実際に金銭被害に遭うと自力で取り戻すのは難しく、しかも多くは運営に通報せず一人で対応を終えている、という実態が分かりました。以降のセクションで、手口・気づいたきっかけ・通報・被害・回収の順にデータを見ていきます。

なお、本記事では特定のアプリ名や相手の職業・国籍などの属性を取り上げず、勧誘・誘導の「手口」と「見抜き方」に焦点をあてています。被害に遭ったことは決して落ち度ではありません。加害者の手口が巧妙化しているという前提で、サインと対応の選択肢を確認していきます。

怪しい勧誘の手口は副業・もうけ話と投資が上位2つ、ともに3割超

怪しいと感じた勧誘・誘導の手口グラフ
回答項目回答割合
副業・もうけ話・ビジネスへの勧誘34.98%
投資(FX・暗号資産/仮想通貨など)への勧誘33.63%
個人情報の聞き出し25.11%
恋愛感情・結婚をちらつかせる言動24.66%
金銭の直接的な要求(立て替え・送金・カード番号など)18.39%
宗教・マルチ商法(ネットワークビジネス)への勧誘17.94%
ギャンブル・オンラインカジノへの勧誘13.0%
その他3.14%

怪しいと感じた勧誘・誘導の手口を複数回答でたずねると、「副業・もうけ話・ビジネスへの勧誘」34.98%と「投資(FX・暗号資産/仮想通貨など)への勧誘」33.63%が特に多く、ともに3割を超えました。次いで「個人情報の聞き出し」25.11%、「恋愛感情・結婚をちらつかせる言動」24.66%、「金銭の直接的な要求」18.39%と続きます。恋愛や親密さをきっかけにしながら、最終的にはお金や投資・副業へと話を向ける流れが多いことがうかがえます。「うまい話」や「あなただけに教える」といった誘い文句が出てきたら、いったん立ち止まる目安になります。

違和感は数日以内が最多、約66%が1週間以内に怪しさを感じ

「あやしい」と感じ始めた段階グラフ
回答項目回答割合
最初のメッセージから(いきなり勧誘・誘導だった)26.91%
やり取りを始めて数日以内39.01%
1〜2週間ほどやり取りをして親しくなってから19.28%
1か月以上、信頼関係を築いてから4.48%
覚えていない・わからない10.31%

「あやしい」と感じ始めた段階は、「やり取りを始めて数日以内」が39.01%で最多でした。「最初のメッセージから(いきなり勧誘・誘導だった)」26.91%と合わせると、約66%が1週間以内に違和感を覚えています。反対に「1か月以上、信頼関係を築いてから」は4.48%にとどまりました。怪しさは早い段階でサインとして表れやすく、序盤のやり取りに注意を向けることが、早い気づきにつながります。

気づいたきっかけは「外部誘導」「会話のかみ合わなさ」「お金・投資の話」

「詐欺かもしれない」と気づいたきっかけグラフ
回答項目回答割合
早い段階で外部サイトやLINEなどに誘導された34.53%
会話がかみ合わない・返信が不自然だった33.63%
すぐにお金や投資・もうけ話の話になった32.74%
プロフィール写真が美男美女すぎる・不自然だった24.22%
なかなか実際に会おうとしなかった19.28%
日本語の表現が不自然だった18.39%
ネットやニュースで同様の手口を知っていた12.11%
相手の経歴・肩書きが話と食い違っていた9.87%
家族・友人など周囲に指摘された3.14%
その他2.69%

「これは詐欺・あやしい勧誘かもしれない」と気づいたきっかけは、「早い段階で外部サイトやLINEなどに誘導された」34.53%、「会話がかみ合わない・返信が不自然だった」33.63%、「すぐにお金や投資・もうけ話の話になった」32.74%が上位に並びました。「プロフィール写真が美男美女すぎる・不自然だった」24.22%も一定数あります。早すぎるアプリ外への誘導、かみ合わない会話、序盤からのお金・投資の話は、代表的な気づきのサインといえます。

気づいた段階は「やり取り開始してすぐ」が最多、支払い後は3.14%

「詐欺かもしれない」と気づいた段階グラフ
回答項目回答割合
やり取りを始めてすぐ30.04%
外部サイトやLINEなどに誘導される前18.83%
外部サイトやLINEなどに誘導された後19.73%
お金や投資を求められた時点17.94%
実際にお金を支払った後3.14%
今もはっきりとはわからない7.62%
自分では気付けず、第三者の指摘やニュースで気付いた0.9%
その他1.79%

気づいた段階は「やり取りを始めてすぐ」が30.04%で最多でした。「誘導される前」18.83%、「誘導された後」19.73%、「お金や投資を求められた時点」17.94%と続き、多くは金銭を支払う前の段階で気づいています。「実際にお金を支払った後」に気づいたのは3.14%にとどまりました。早い段階でサインに気づければ、支払いや送金の前に踏みとどまれる可能性が高まることがうかがえます。

アプリ外への入口はLINEが最多、43.95%がメッセージアプリへ誘導

アプリの外へ誘導された移動先グラフ
回答項目回答割合
LINEなどのメッセージアプリ43.95%
外部サービスへの誘導はされなかった29.15%
投資・取引などの専用サイト・専用アプリ25.56%
別のSNS(Instagram、Telegram など)17.94%
出会い系・別のマッチングサイト15.25%
その他の外部サービス0.45%

アプリの外へ誘導された移動先は、「LINEなどのメッセージアプリ」が43.95%で最多でした。次いで「投資・取引などの専用サイト・専用アプリ」25.56%、「別のSNS(Instagram、Telegram など)」17.94%と続きます。「外部サービスへの誘導はされなかった」は29.15%でした。アプリ内はやり取りの記録が残り運営の監視も及びますが、アプリ外へ移ると監視が届きにくくなります。早い段階でアプリ外へ誘導しようとする動きは、怪しい勧誘に共通しやすいサインといえます。誘われても、いったんアプリ内でのやり取りにとどめる判断が、身を守る一歩になります。

怪しい相手を運営に通報しなかった人が約55%を占める

アプリ運営への通報と運営の対応グラフ
回答項目回答割合
通報はせず、相手をブロック・非表示にするだけにした32.74%
特に何もしなかった22.42%
通報したが、対応は不十分、または反応がなかった20.18%
通報し、運営が迅速に対応した(アカウント停止・削除など)13.45%
通報しようとしたが、方法がわからずできなかった11.21%

怪しい相手についてアプリ運営に通報・報告をしたかをたずねると、「通報はせず、相手をブロック・非表示にするだけにした」32.74%と「特に何もしなかった」22.42%を合わせて、約55%が運営に通報していませんでした。通報しても「対応が不十分・反応がなかった」20.18%、「方法がわからずできなかった」11.21%もあり、通報が結果につながりにくい・通報のハードルが高いと感じている人が一定数いることがうかがえます。運営が迅速に対応したのは13.45%でした。ブロックだけで済ませると相手は別の利用者に接触を続ける可能性があります。次の被害を防ぐ意味でも、ブロックとあわせて運営への通報を検討することに意味があります。

金銭被害に遭った39名の約64%が「取り戻せていない」

不審な勧誘による金銭被害の有無・被害額グラフ
回答項目回答割合
金銭的な被害はなかった69.96%
被害にあいかけたが、途中で気づいて回避した(実害なし)12.56%
10万円〜50万円未満5.83%
1万円〜10万円未満4.93%
1万円未満2.24%
50万円〜100万円未満1.79%
100万円〜500万円未満1.79%
500万円以上0.9%

金銭被害の有無をたずねると、「金銭的な被害はなかった」が69.96%、「被害にあいかけたが、途中で気づいて回避した(実害なし)」が12.56%でした。早い段階で気づいて踏みとどまれた人が多い一方、実際に金銭被害があった人は合わせて約17%(1万円未満〜500万円以上)で、100万円以上の高額な被害も計2.69%生じていました。被害を回避できた人が一定数いることは、早い気づきが被害の分かれ目になりうることを示しています。

被害に遭うと約64%が「取り戻せていない」

被害額を取り戻せたかグラフ
回答項目回答割合
取り戻そうと行動したが、取り戻せなかった48.72%
一部を取り戻せた25.64%
どうしてよいか分からず、あきらめた(行動しなかった)15.38%
全額を取り戻せた10.26%

実際に金銭被害があった39名のうち、被害額を取り戻せたかをたずねると、「取り戻そうと行動したが、取り戻せなかった」48.72%と「どうしてよいか分からず、あきらめた」15.38%を合わせて、約64%が被害額を取り戻せていませんでした。「取り戻そうと行動したが、取り戻せなかった」48.72%は「全額を取り戻せた」10.26%の約4.7倍にあたります。一部でも取り戻せたのは25.64%、全額は10.26%にとどまります。金銭被害に遭ってからの自力回収は容易ではなく、時間が経つほど資金の追跡や返金は難しくなりやすいとされます。だからこそ、被害に気づいたらできるだけ早く相談先を選び、状況を整理することが、その後の選択肢に影響する場合があります(回収を保証するものではありません)。なお本設問は金銭被害があった39名という小標本での割合である点にご留意ください。

怪しい勧誘に早く気づき、被害時に相談するためのポイント

・「数日以内・アプリ外への誘導・お金や投資の話」が重なったら、早めに距離を置く。

・会話のかみ合わなさやプロフィールの不自然さも、早い段階の気づきのサイン。

・誘われてもすぐにアプリ外へ移らず、いったんアプリ内でのやり取りにとどめる。

・怪しいと感じたらブロックだけで済ませず、アプリ運営への通報も検討する。

・やり取り・送金の記録(スクリーンショット等)を時系列で残し、被害に遭ったら一人で抱え込まず、弁護士や公的相談窓口など早めの相談という選択肢を持つ。

怪しい勧誘の多くは、やり取りの早い段階でサインが表れます。少しでも違和感を覚えたら立ち止まり、万一被害に遭ってしまった場合も一人で抱え込まず、弁護士や消費生活センターなどの公的相談窓口といった、早めの相談という選択肢を持つことが、その後の対応の助けになります。

よくある質問(FAQ)

Q. マッチングアプリの怪しい勧誘は、どの段階で気づけますか?

A. 本調査では、相手を疑った経験がある223名の約66%が1週間以内に違和感を覚えていました(最初のメッセージから26.91%+数日以内39.01%)。早い段階でのアプリ外への誘導、かみ合わない会話、序盤からのお金・投資の話が、代表的な気づきのサインです。

Q. 怪しい相手には、どう対応すればよいですか?

A. 調査では約55%が運営に通報せず、ブロックや非表示だけで済ませていました。ブロックだけでは相手が別の利用者に接触を続ける可能性があるため、やり取りの記録を残したうえで、アプリ運営への通報もあわせて検討することが考えられます。

Q. 被害額は取り戻せますか?

A. 本調査では、金銭被害があった39名のうち約64%が「取り戻せていない」と回答しており、自力での回収は容易ではありません。ただし、被害に気づいたら早めに相談先を選び、状況を整理することが、その後の選択肢に影響する場合があります(回収を保証するものではありません)。

マッチングアプリ詐欺・消費者被害の相談について

「マッチングアプリで知り合った相手が怪しい」「投資や副業に誘われて不安」「お金を送ってしまった」と感じたら、お一人で抱え込まずに相談を検討してみてください。田中保彦法律事務所は、第二東京弁護士会所属の田中保彦弁護士が代表を務める法律事務所です。東京都新宿区若葉(JR四ツ谷駅近く)に事務所を構え、ロマンス詐欺・国際ロマンス詐欺・投資詐欺・SNS詐欺・副業詐欺など、消費者被害や詐欺トラブルに関する相談に対応しています。

・被害に遭った方・不安を抱える方に寄り添い、冷静に状況を整理する

・初回相談は無料。メールフォーム・LINEから受付

状況を整理するためだけでも相談の場をご利用いただけます。判断に迷う前に、取りうる選択肢を確認しておくと安心につながります。

調査概要

調査名マッチングアプリ別 詐欺勧誘の手口・気づいたきっかけと被害実態に関する調査
調査対象マッチングアプリでやり取りをした相手を「詐欺やあやしい勧誘ではないか」と疑った経験がある方(モニタリスト)
有効回答数300名(n=300/Q3〜Q9はマッチングアプリで怪しい相手がいたと回答した223名・Q10は金銭被害があった39名が対象)
調査期間2026年7月3日
調査方法インターネットによるモニタリスト調査(freeasy使用)
調査主体田中保彦法律事務所