【弁護士が解説】占い詐欺の実態と騙されないための対策
近年、スマートフォンやSNSの普及に伴い、占いビジネスは大きな変貌を遂げています。
手軽にアクセスできる占いサイトやアプリが増える一方で、利用者の不安や期待を悪用した悪質な詐欺被害も急激に増加しているのが現実です。
「人生が変わる」「運命の人に出会える」といった甘い言葉で誘導し、気がつけば数十万円、時には100万円を超える金額を支払わされてしまう被害者が後を絶ちません。
占い自体は古くから親しまれてきた文化の一部であり、多くの場合は健全なサービスです。
しかし、利用者の心の隙間に巧妙に入り込み、法外な料金を請求する悪質な業者が存在するのも事実。
被害に遭ってしまった方も、適切な対応をすることで支払った金額を取り戻せる可能性があります。
占い詐欺とは?
占い詐欺とは、占いの名目で虚偽の情報を使い、利用者から不当に金銭をだまし取る行為のことです。
占いそのものは法律で禁止されているわけではなく、誠実に運営されている占い師や占いサイトも数多く存在します。
しかし、悪質な業者や個人は「特別な力で未来を変えられる」「このままだと不幸になる」などと虚偽の説明を行い、恐怖や不安をあおって高額な鑑定料や祈祷料を請求します。
こうした行為は、実際の占いサービスではなく、相談者の心理を巧妙に利用して金銭を得る詐欺行為とみなされます。
特に、恋愛・結婚・健康・仕事など、人生の重要な悩みを抱えた人が狙われやすく、被害者は「自分だけが特別に助けてもらえる」という思い込みを利用されるケースが多いのが特徴です。
占いが当たらなくても詐欺ではないの?
占いの結果が当たらなかったからといって、それだけで「詐欺」とは限りません。
占いはあくまで信仰や娯楽の一種であり、明確な結果を保証するサービスではないため、鑑定が外れたこと自体は法的な問題にはならないケースが大半です。
「結果が当たらなかった」というだけでは詐欺にはなりませんが、占いを利用して不当に金銭を得ようとする行為があれば、それは違法行為とされ得るのです。
占い詐欺のよくある手口5選
手口を理解していれば、怪しいサイトや占い師を見分けることができ、被害に遭う前に適切な判断ができます。
以下では、特に多く報告されている5つの典型的な手口について、具体的な事例とともに解説します。
手口①「霊が憑いている」と不安を煽る
最も悪質で被害額が高額になりやすいのが、霊的な恐怖を利用した手口です。
占い師は「あなたには強い悪霊が憑いている」「このままでは家族にも災いが及ぶ」といった恐怖心を煽る言葉を使います。
相談者が不安になったところで、「特別な除霊が必要」「お祓いをしなければ大変なことになる」と脅し、高額な除霊費用を要求してきます。
金額は数十万円から場合によっては数百万円に及ぶケースもあり、最も危険な手口の一つです。
このような霊的な脅しは、科学的根拠が全くありません。
恐怖心を煽って正常な判断力を奪い、金銭を搾取することだけが目的の悪質な詐欺行為です。
手口②開運グッズの購入を強要
「運気を上げるために特別なアイテムが必要」として、高額な開運グッズの購入を迫る手口も頻繁に報告されています。
パワーストーン、開運ブレスレット、縁起物の壺など、様々な商品が法外な価格で販売されています。
「このブレスレットを身につければ宝くじが当たる」「この石があれば理想の相手と出会える」などと効果を謳いますが、実際には数千円程度の安価な商品を数万円から数十万円で販売しているのが実態です。
開運グッズ自体に問題があるわけではありませんが、法外な価格設定や根拠のない効果の約束は明らかな詐欺行為にあたります。
手口③「特別な占い師」として高額料金を請求
「私は特別な能力を持つ占い師で、普通では見えないものが見える」として、通常の相場を大きく上回る鑑定料を請求する手口です。
相談者の不安や悩みを巧みに聞き出し、「あなたの問題は特別な鑑定が必要」として継続契約を持ちかけます。
最初は比較的安い料金でサービスを提供し、相談者が信頼を寄せたところで「より詳しい鑑定には追加料金が必要」として段階的に支払い額を増やしていく手法も使われます。
このような継続契約では、明確な終了時期が設定されず、いつまでも料金を支払い続けることになってしまいます。
手口④LINE・SNS経由でのスカウト型
最近特に増えているのが、LINEやSNSを通じて直接アプローチしてくる手口です。
「あなたに重要なお知らせがある」「特別に選ばれた方だけにご連絡している」といったメッセージで興味を引き、個人的な悩み相談から占いサービスへと誘導します。
このタイプの詐欺では、最初は親身になって相談に乗るふりをして信頼関係を築き、その後で占いサービスや高額商品の購入を勧めてきます。
個人的なやり取りのため警戒心が薄れやすく、被害に気づくのが遅れがちです。
SNS上の占い師を名乗るアカウントの中には、有名占い師の写真や経歴を無断使用している偽アカウントも多数存在します。
手口⑤サブスク型で長期的にお金を取られる
月額制や年額制のサブスクリプション形式で料金を徴収し、解約手続きを分かりにくくしたり、解約を拒否したりする手口も増えています。
「初月無料」「お試し期間あり」といった言葉で契約を促し、いつの間にか継続課金が始まっています。
解約を申し出ても「契約期間中は解約できない」「違約金が発生する」などと理由をつけて解約を阻止し、長期間にわたって料金を徴収し続けます。
このような契約形態では、利用者が気づかないうちに年間で数百万円もの金額を支払わされてしまうケースがあります。
契約内容や解約条件を事前に十分確認することが重要です。
占い詐欺の被害事例
これらの事例は、どのようにして被害者が詐欺の罠にはまってしまうのかを示しています。
同じような状況に陥らないよう、参考にしてください。
事例①:開運ブレスレット購入で120万円の被害
SNSで知り合った占い師との出会いが被害の発端となりました。
SNS経由で占い師から親しみやすいメッセージが届いたことで相談を開始。
最初は無料で親身になって話を聞いてもらえたため、信頼関係が築かれていきました。
しかし、占い師は突然「あなたには大きな厄が憑いている状況が見える」と告白。さらに「このまま放置すると、健康面で重大な問題が生じる可能性が高い」と不安を煽る内容を伝えてきました。
恐怖心を抱いた被害者に対し、占い師は開運ブレスレットと鑑定料として月10万円をを提案し、1年間支払いました。
被害者は疑問を抱くようになり、法律相談を受けることになりました。
事例②:除霊代金と特別祈祷料の名目で高額請求(被害額:180万円)
この事例の被害者は、婚約を控えた大切な時期に占い師から「このままでは婚約が破談になる」と警告してきました。
動揺した被害者に対し、占い師は除霊と祈祷を提案し、合計180万円を支払いました。
しかし約束された除霊や祈祷を受けた後も、生活に何の変化もありません。それどころか、支払い完了後は占い師との連絡が取れなくなってしまいました。
不審に思った被害者が弁護士に相談したところ、一連の行為が典型的な霊感商法による詐欺であることが判明しました。
占い詐欺の見分け方と注意点
占い詐欺の被害に遭わないためには、悪質なサイトや占い師を事前に見分ける能力が重要です。
詐欺業者には共通した特徴があり、これらのポイントを知っておくことで被害を未然に防ぐことができます。また、法的な観点から詐欺と認定されやすいパターンも理解しておくことで、より確実な判断ができるでしょう。
法的視点で詐欺と認定されやすいパターン
裁判所が占い詐欺として認定しやすい行為には、明確な特徴があります。
まず「虚偽の事実による勧誘」です。科学的根拠のない霊的現象を断定的に説明し、緊急性を煽って判断力を奪う行為は詐欺の典型例とされています。
「不当な高額請求と契約不履行」も重要な判断基準です。
提供されるサービスの内容に対して料金が著しく高額である場合や、約束した占い結果を提供せずに意味のないやり取りを続ける行為は契約違反にあたります。
注意すべきポイント
悪質な占いサイトを見分けるため、以下の点を必ずチェックしてください。
「特定商取引法表示の有無」を確認しましょう。
法律で義務付けられているこの表示がないサイトは、そもそも違法運営の可能性が高く、利用を避けるべきです。表示があっても、会社名や住所が曖昧に記載されている場合は要注意です。
「返金保証の内容」も重要な判断材料です。
「満足いただけない場合は全額返金」といった曖昧な表記ではなく、具体的な条件や手続き方法が明記されているかを確認してください。
返金に関する記載が一切ない場合は、トラブル時の対応が期待できません。
「連絡先情報の透明性」もチェックポイントです。
電話番号が携帯電話のみであったり、事務所住所が非公開であったりする場合は、責任の所在が不明確で危険です。
信頼できる業者は、固定電話番号や具体的な事務所住所を明記しています。
「料金体系の明確性」にも注意が必要です。
「初回無料」を謳いながら、その後の料金設定が不明確なサイトは避けましょう。
特に「鑑定の途中で追加料金が発生する」「継続しないと効果がない」といった説明をする業者は、計画的に高額請求をする可能性があります。
占い詐欺だと思ったら、迷わず弁護士に相談を
占い詐欺の被害でお困りの方には、専門的な知識と豊富な経験を持つ弁護士への相談をお勧めします。
田中保彦法律事務所では、詐欺被害・消費者被害に特化した法的サポートを提供しており、占い詐欺の複雑な問題にも的確に対応いたします。
返金交渉には専門的な法律知識が必要であり、個人での対応では限界があります。
早期の相談により、証拠保全や適切な対応方針の決定が可能となり、返金実現の可能性を高めることができます。
占い詐欺に関するよくある質問
Q.占いで支払ったお金は返ってきますか?
A.契約内容や取引の経緯、残されている証拠によって返金の可能性は変わります。
虚偽の説明で契約させられた場合や、約束されたサービスが提供されていない場合には返金される可能性が高くなります。まずは具体的な状況をお聞かせください。
Q.占い結果に不安を煽られて高額な祈祷や開運グッズを買ってしまいました。これも詐欺ですか?
A.はい、その可能性があります。
占い師が「このままでは不幸になる」「災厄を避けるには祈祷が必要」などと不安を煽り、効果の定かでない祈祷や高額な開運グッズを強く勧めてきた場合、合理性のない支出を強要した詐欺行為と判断されることがあります。
特に金額が高額な場合は、すぐに専門家に相談してください。
Q.占い師の名前や連絡先が分からない場合はどうすれば良いでしょうか?
A.SNSアカウントの情報や振込先の口座情報、メールアドレスなどから相手方を特定できる可能性があります。
わずかな情報からでも追跡調査は可能ですので、お手持ちの情報をすべてお持ちください。
Q.占いアプリでのやり取りですが、相手が本物の占い師か分かりません。詐欺かどうか判断できますか?
A.占いアプリでは、実在する占い師になりすました人物が運営しているケースもあります。
相手が個人か業者か不明瞭な場合や、運営者情報が記載されていない、返金・解約方法がない場合は危険です。アプリ内の履歴を保存し、怪しい点があれば利用を中止し、相談機関へ連絡しましょう。
Q.占い詐欺かどうか自分では判断がつきません。どこに相談すればいいですか?
A.判断に迷った場合は、一人で抱え込まずに弁護士に相談してください。
金銭の支払い履歴や、やり取りのスクリーンショットなど、証拠になるものを保存しておくことも重要です。
初期段階での相談が、被害の拡大を防ぐ第一歩です。
まとめ
占いを利用した詐欺は、相談者の心の隙間に巧妙に入り込み、不安や恐怖を利用してお金を搾取する卑劣な犯罪です。
「人生が変わる」「運命が開ける」といった甘い言葉の裏には、計画的に被害者を騙そうとする悪意が隠されています。
しかし、被害に遭ってしまったからといって諦める必要はありません。
適切な証拠が残っていれば、支払ったお金を取り戻せる可能性は十分にあります。
実際に多くの被害者が、弁護士の支援により返金を実現しています。
重要なのは、少しでも「おかしい」と感じた時点で、すぐに利用を中止し専門家に相談することです。
被害の拡大を防ぎ、早期解決につなげるためには、迅速な対応が何より大切です。
田中保彦法律事務所では、占い詐欺をはじめとする消費者被害のご相談を随時受け付けております。
一人で悩まず、まずはお気軽にご連絡ください。あなたの問題解決に向けて、全力でサポートいたします。





