【被害急増】ロマンス詐欺の見分け方と対処法を弁護士が解説
インターネット上での出会いが一般的になった現代において、ロマンス詐欺の被害が急増しています。
被害を未然に防ぐためには、詐欺の手口を知り、冷静に見分ける力を養うことが大切といえるでしょう。
この記事では、ロマンス詐欺の代表的な見分け方を詳しく解説し、被害に遭わないための心構えと対応策を紹介します。
大切な財産と心を守るために、ぜひ最後までご覧ください。
ロマンス詐欺とは?
ロマンス詐欺とは、恋愛・結婚を装って相手に近づき、甘い言葉や将来への約束で信頼関係を築いた後、金銭をだまし取る詐欺行為です。
SNSやマッチングアプリで知り合った相手が、時間をかけて恋愛感情を抱かせ、最終的には投資話や緊急事態を理由に送金を求めてきます。
従来は「病気やケガで治療費が必要」「会いに行くための渡航費を貸してほしい」といった同情を誘う手法が主流でした。しかし最近では、「二人の将来のために投資をしよう」「特別な投資案件がある」など、投資を口実とした手口も増加しています。
なぜロマンス詐欺が急増しているのか?
ロマンス詐欺の被害が急激に増加している背景には、社会環境の変化と詐欺手法の進化が密接に関わっています。その要因を詳しく分析していきましょう。
デジタル化の進展と出会いの多様化
最も大きな要因として、SNSやマッチングアプリの爆発的な普及が挙げられます。
コロナ禍を経て、オンラインでの出会いが一般的になり、多くの人がインターネットを通じて新しい人間関係を築くようになりました。
警察庁の調査では、被害者の約4割がマッチングアプリで詐欺師と出会っており、SNSのプラットフォームでは身元確認が不十分な場合も多く、詐欺師が偽のプロフィールを作成しやすい環境となっています。
詐欺手法の高度化と組織化
現在のロマンス詐欺は、高度に組織化された国際的な犯罪グループによって実行されることが増えています。詐欺師グループは「相手役」「技術担当」「資金回収担当」などに役割分担し、効率的に犯行を行います。
特に注目すべきは、AI技術の悪用です。音声変換技術やディープフェイク技術を使用し、より自然な動画通話を作成することで、被害者の疑念を払拭する手法が登場しています。
また、翻訳技術の向上により、自然な日本語でのやり取りが可能になったことも詐欺の被害件数を増やしている要因といえるでしょう。
投資詐欺との融合と社会的孤立感
従来のロマンス詐欺と投資話を組み合わせることで、被害額が増加しています。
詐欺師は専用の投資サイトを用意し、一時的に利益を表示させることで被害者の信頼を獲得し、より大きな金額の投資を促します。
さらに、コロナ禍を経て社会的孤立感の増大も被害拡大の一因です。
リモートワークや外出自粛により人間関係が希薄になる中、オンラインでの温かい関係性に強く惹かれる人が増加しており、詐欺師はこうした心理状況を巧みに利用しています。
ロマンス詐欺の見分け方10選
ロマンス詐欺を未然に防ぐためには、詐欺師の典型的な行動パターンや危険信号を知ることが重要です。
以下の10のポイントを確認し、当てはまる項目が複数ある場合は十分注意しましょう。
見分け方①:出会ってすぐに深い愛情表現をしてくる
詐欺師は「一目惚れ」や「運命の出会い」といった言葉を使い、出会って間もないうちから熱烈なアプローチをしてきます。「あなたは特別な存在」「今まで感じたことのない気持ち」など、過剰な愛情表現で被害者の判断力を鈍らせようとします。
通常の恋愛関係では、お互いを知る時間をかけて徐々に関係を深めていくものです。
短期間で深い愛情を表現する相手には警戒が必要です。
見分け方②:ビデオ通話を極端に避ける・顔出しをしない
詐欺師は他人の写真やAI生成画像を使用してプロフィールを作成しているため、ビデオ通話を嫌がります。「カメラが壊れている」「恥ずかしい」「通信環境が悪い」など、さまざまな理由をつけて顔を見せることを避けようとします。
何度ビデオ通話を提案しても応じない、または録画された動画のみを送ってくる場合は要注意です。
本当に恋愛関係を築きたい相手であれば、顔を見せることに抵抗はないはずです。
見分け方③:海外在住を理由に会おうとしない
多くのロマンス詐欺師は「軍人として海外派遣中」「医師として紛争地域で活動中」「国際的なプロジェクトで出張中」など、海外にいることを理由に直接会うことを避けます。
しかし実際には、時差の概念が曖昧だったり、その国の祝日や文化について詳しくなかったりする矛盾が見られることがあります。長期間やり取りしているにも関わらず、一度も会えない関係は疑問を持つべきです。
見分け方④:急なトラブルでお金を要求してくる
信頼関係を築いた後、詐欺師は緊急事態を演出してお金を要求してきます。
「手術代が足りない」「帰国のための費用が必要」「投資のチャンスを逃したくない」など、緊急性を強調して冷静な判断を妨げようとします。
特に「今すぐ送金しないと大変なことになる」「あなたしか頼れる人がいない」といった感情的な訴えかけは典型的な詐欺の手口です。
見分け方⑤:肩書きが医師・軍人・起業家など立派すぎる
詐欺師は被害者に信頼感と憧れを抱かせるため、社会的地位の高い職業を名乗ることが多いです。医師、軍人、弁護士、CEO、国際機関職員など、高収入で尊敬される職業を装います。
しかし、その職業に関する専門的な知識に乏しかったり、勤務先の詳細を曖昧にしたりする場合があります。
プロフィールがあまりにも完璧すぎる場合は注意が必要です。
見分け方⑥:話が噛み合わず翻訳ツールを使っているような日本語
外国人が日本人になりすましている場合、不自然な日本語を使用することがあります。
機械翻訳特有の硬い表現や、日本の文化に関する基本的な知識の欠如が見られることがあります。
また、時々返信内容が質問と噛み合わなかったり、同じような定型文を繰り返し使用したりする傾向も見られます。
見分け方⑦:SNSのフォロワー数や投稿が不自然
詐欺師のSNSアカウントは、フォロワー数が極端に少ない、または購入したと思われる大量のフォロワーがいるなど不自然な特徴があります。投稿写真も他のサイトから転用したものが多く、投稿のタイミングや内容に一貫性がない場合があります。
画像検索で同じ写真が他のアカウントでも使用されていないか確認することをおすすめします。
見分け方⑧:信頼させたうえで仮想通貨などを勧誘してくる
恋愛関係を築いた後に「二人の将来のために投資をしよう」「特別な投資案件がある」といって仮想通貨やFX投資を勧めてきます。
「自分も投資で成功している」「あなたにも同じチャンスを与えたい」など、親切心を装って投資サイトへの登録や送金を促します。
恋愛相手から投資を勧められることは通常考えにくいことです。
見分け方⑨:日本の金融機関ではなく海外口座を指定してくる
送金を求められる際、日本国内の銀行口座ではなく、海外の口座や仮想通貨ウォレットへの送金を指定してくることがあります。
「海外にいるため日本の口座が使えない」といった理由を述べますが、実際には足跡を残さないための手段です。
海外送金や仮想通貨での送金は追跡が困難で、一度送金してしまうと回収がほぼ不可能になります。
見分け方⑩:家族や知人に話すのをやたらと止めてくる
詐欺師は第三者に相談されることを最も恐れるため、「二人だけの秘密にしよう」「家族に話すと反対される」「周りの人には理解してもらえない」などと言って、周囲への相談を止めようとします。
健全な恋愛関係であれば、家族や友人に紹介することは自然なことです。それにも関わらず相談を制限しようとする相手には十分な警戒が必要です。
実際の詐欺メッセージ文例を徹底分析【危険サイン付き】
ロマンス詐欺師が実際に使用するメッセージには、共通するパターンや危険なサインが存在します。
実際の事例を基に、どのような表現に注意すべきかを具体的に解説していきます。
初期段階の甘い誘惑メッセージ
【詐欺メッセージ例】
「あなたのプロフィールを見た瞬間、運命を感じました。こんなに美しい心を持った人に出会えるなんて、神様からの贈り物だと思います。ぜひお話しさせてください。」
【危険サイン】
- 過剰な褒め言葉:「運命」「神様からの贈り物」など大げさな表現
- 即座の深い感情表現:プロフィールを見ただけで強い感情を示す
- 理想化された表現:現実的でない美化された言葉遣い
通常の出会いでは、相手を知る前からこのような深い感情を抱くことは考えにくいものです。
第一印象だけで運命や神の意志を語る相手には注意しましょう。
実際の詐欺メッセージ文例を徹底分析【危険サイン付き】
ロマンス詐欺師が実際に使用するメッセージには、共通するパターンや危険なサインが存在します。
実際の事例を基に、どのような表現に注意すべきかを具体的に解説していきます。
関係を深める段階の操作的メッセージ
【詐欺メッセージ例】
「君と出会ってから、毎日が輝いて見えるよ。僕の人生にこんなに大切な人ができるなんて思わなかった。近いうちに必ず日本に行って君に会うから、それまで待っていてくれる?君のことを想わない日はないんだ。」
【危険サイン】
- 時期を明確にしない約束:「近いうちに」「必ず」など曖昧な表現
- 感情的な依存を促す:「君のことを想わない日はない」
- 一方的な愛情の押し付け:相手の気持ちを確認せずに深い関係を前提とする
詐欺師は被害者に「特別な存在」であることを実感させ、感情的な依存関係を作ろうとします。具体的な予定を示さずに将来の約束をする相手には警戒が必要です。
金銭要求前の布石となるメッセージ
【詐欺メッセージ例】
「君と出会ってから、毎日が輝いて見えるよ。僕の人生にこんなに大切な人ができるなんて思わなかった。近いうちに必ず日本に行って君に会うから、それまで待っていてくれる?君のことを想わない日はないんだ。」
【危険サイン】
- 具体性のない成功談:「かなり成功」「数百万円」など曖昧な表現
- 限定性の演出:「信頼できる人だけに」「特別な」
- 将来への責任転嫁:「君との将来のため」として投資を正当化
恋愛関係において投資話を持ち出すことは極めて不自然です。「二人の将来のため」という名目で投資を勧める相手は詐欺師の可能性が高いでしょう。
緊急事態を装った金銭要求メッセージ
【詐欺メッセージ例】
「大変なことが起きた!病院で手術を受けることになったんだけど、保険の手続きに時間がかかって、今すぐ治療費を用意しないといけない。200万円必要なんだ。君にこんなお願いをするのは本当に申し訳ないけど、助けてくれる?必ず返すから!」
【危険サイン】
- 突然の緊急事態:前触れなく深刻な状況を報告
- 具体的な金額の提示:「200万円」など高額な要求
- 感情的な訴えかけ:「申し訳ない」「助けて」
- 返済の約束:「必ず返す」という根拠のない保証
真の緊急事態であれば、家族や友人、医療機関のソーシャルワーカーなど、他の支援手段を検討するはずです。オンラインで知らない相手に高額な金銭を要求することは通常ありえません。
投資詐欺への誘導メッセージ
【詐欺メッセージ例】
「このサイトで取引を始めてから、もう500万円以上の利益が出ているよ。君にもアカウントを作ってもらって、最初は10万円くらいから始めてみない?僕がサポートするから絶対に損はさせないよ。一緒に豊かな未来を築こう!」
【危険サイン】
- 非現実的な利益報告:「500万円以上の利益」
- 低いハードルの設定:「10万円くらいから」で安心感を演出
- 絶対という保証:「絶対に損はさせない」
- 共同作業の演出:「一緒に豊かな未来を」
投資に「絶対」は存在しません。
損失のリスクを一切説明せず、利益のみを強調する投資話は確実に詐欺です。
被害者を孤立させるメッセージ
【詐欺メッセージ例】
「この投資の話は他の人には絶対に話さないで。限られた人だけの特別な情報だから、広まると僕も困ってしまう。家族や友人に相談すると、きっと反対されて僕たちの関係も壊れてしまうよ。二人だけの秘密にしておこう。」
【危険サイン】
- 秘密の強要:「絶対に話さないで」「秘密にしておこう」
- 第三者への相談を阻止:家族や友人への相談を妨害
- 関係破綻への脅し:「僕たちの関係も壊れてしまう」
- 限定性の偽装:「特別な情報」で希少価値を演出
健全な関係であれば、家族や友人に相談することを制限する理由はありません。相談を止めようとする相手は、第三者に見抜かれることを恐れている証拠です。
これらのメッセージパターンを覚えておき、似たような内容を受け取った場合は詐欺を疑いましょう。
少しでも違和感を感じたら、信頼できる第三者に相談することが被害防止の最も確実な方法です。
まとめ
ロマンス詐欺被害の回復には、豊富な経験と専門的なノウハウを持つ法律事務所への相談が不可欠です。田中保彦法律事務所では、振り込め詐欺等の特殊詐欺から数多くの被害者の方々の被害回復を実現してまいりました。
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ロマンス詐欺は心の隙間につけ込む卑劣な犯罪です。
早期に兆候を見抜き、適切な対応を取ることで、大切な財産と心を守りましょう。
不安を感じたときは、迷わず専門家に相談することをおすすめします。






