ネット詐欺は警察が動かないのか|被害時の対応と弁護士との違い
ネット詐欺の被害に遭った際、警察に相談しても「すぐには動けない」と言われ、不安になる方は少なくありません。
しかし、警察が対応できる範囲には役割上の違いがあります。
本記事では、警察が動かないと言われる理由、警察ができること・できないこと、弁護士との違い、被害後の現実的な対応について整理して解説します。
ネット詐欺で「警察が動かない」と言われるのはなぜか
警察に相談しても捜査がすぐに進まないことがあります。
これは対応を拒否しているわけではなく、事件性の判断や証拠状況など、捜査開始までに必要な条件があるためです。
まずは「動かない」と感じる背景を整理します。
事件性の判断に時間がかかる
ネット詐欺は、単なる契約トラブルなのか刑事事件として扱うべき詐欺なのかの判断が難しい場合があります。
被害者の説明だけでは断定できないことも多く、やり取りの内容や金銭の流れなどを総合的に確認する必要があります。
また、同様の被害が複数存在するかどうか、組織的な犯行の可能性なども検討されるため、初動段階で時間がかかることは珍しくありません。
証拠が不足している場合が多い
ネット詐欺では、相手が匿名アカウントを使用していたり、海外の連絡手段を使っていたりすることが多く、証拠が断片的になりがちです。
振込明細やメッセージ履歴が揃っていない場合、事件性の判断が難しくなることがあります。
証拠の有無は捜査の進み方に大きく影響するため、警察側も慎重な確認を行う必要があります。
すぐに捜査着手が難しいケースがある
ネット詐欺は相談件数が多く、被害額や組織性などを踏まえて優先順位が検討されることがあります。
重大事件と比較した場合、捜査体制の都合で時間がかかることもあります。
これは対応しないという意味ではなく、限られた人員の中で全体のバランスを見ながら対応しているという実情があります。
民事問題と判断されるケース
投資トラブルや個人間の取引では、「詐欺」か「契約上の問題」か判断が分かれる場合があります。
損失が出たこと自体が詐欺とは限らないため、警察が刑事事件として扱うか慎重に検討されます。
このような場合、警察がすぐに動かないと感じられることがありますが、民事的な側面が強いと判断されると捜査の対象外となることもあります。
警察が対応できること
警察はネット詐欺に対して何もできないわけではありません。
刑事事件として認められる場合には、捜査や情報収集、被害の拡大防止などの対応が行われます。
役割を理解しておくことが重要です。
刑事事件としての捜査
詐欺の疑いが強いと判断された場合、警察は刑事事件として捜査を行います。
口座情報や通信記録の照会、他の被害者との関連調査などが進められることがあります。
すぐに結果が出るわけではありませんが、同種の事件との関連が見つかることで捜査が進展することもあります。
被害届の受理
被害届を提出することで、事件として記録され、今後の捜査や情報共有に活用される可能性があります。
被害届は必ずしも捜査開始を意味するものではありませんが、被害状況を公的に残すという意味で重要です。
後に同様の被害が発生した際の資料になることもあります。
他事件との関連調査
同じ手口の詐欺が複数報告されている場合、警察はそれらをまとめて捜査することがあります。
単独の被害では動きが見えにくくても、他の事件と関連づけられることで進展する可能性があります。
このような調査は時間を要するため、すぐに結果が出ないこともあります。
被害拡大防止の役割
警察は注意喚起や情報共有を通じて、被害の拡大を防ぐ役割も担っています。
特定の口座や手口に関する情報が集まることで、今後の被害を防ぐ取り組みにつながることがあります。
直接的な返金対応ではなくても、社会全体の被害抑止に関与しています。
警察がすぐに対応できないこと
一方で、警察には役割上対応できない分野もあります。
ここを理解しておくと、「動かない」と感じる理由が整理しやすくなります。
個別の返金交渉
警察は刑事事件の捜査機関であり、個別の返金交渉を行う立場にはありません。
被害金の返還について直接交渉することは基本的に行われないため、返金を期待して相談すると対応の違いに戸惑うことがあります。
資金回収のサポート
送金済みの資金を回収するための具体的な手続きや交渉は、警察の役割ではありません。
刑事事件としての捜査とは別に、民事的な対応が必要になることが多く、その部分は別の専門家に委ねられることがあります。
民事上の解決
契約トラブルや投資損失など、民事的な側面が強い場合は警察の対応範囲外となることがあります。
このようなケースでは、刑事手続きとは別に、法的整理や対応方法を検討する必要があります。
即時対応が難しいケース
被害状況の確認や証拠収集に時間がかかる場合、すぐに捜査が始まらないことがあります。
相談したその場で解決に向けて動き出すとは限らないため、対応が遅いと感じることがありますが、慎重な確認が必要なケースも多いのが実情です。
警察と弁護士の役割の違い
ネット詐欺の被害では、警察と弁護士の役割が異なります。
どちらが重要ということではなく、目的に応じて相談先を考えることが大切です。
警察=刑事対応
警察は犯罪の捜査や被害拡大防止を目的とした機関です。
刑事事件として扱われる場合には、犯人の特定や再発防止に向けた対応が行われます。
被害届の提出など、事件記録を残す意味でも重要な役割を担っています。
弁護士=民事整理
弁護士は、被害状況の整理や今後の対応方針の検討など、個別事情に応じたサポートを行います。
返金交渉や法的な整理など、民事的な側面に関わる部分を中心に対応することが多く、警察とは役割が異なります。
相談のタイミングの違い
警察は事件性の判断が必要ですが、弁護士への相談は「詐欺かどうか確信がない段階」でも可能です。
状況整理や証拠の確認を通じて、今後の方向性を検討するための相談先として利用されることがあります。
弁護士に相談する意味
ネット詐欺では、被害の整理や判断材料を得るために弁護士に相談するケースがあります。
相談の目的を理解しておくことで、次の行動を選びやすくなります。
状況整理ができる
これまでの経緯や証拠を整理し、何が起きているのかを客観的に確認できます。
感情的な混乱がある状態でも、事実関係を整理することで冷静な判断がしやすくなります。
法的視点の確認
詐欺に該当する可能性や、今後考えられる対応について法的な視点から説明を受けることができます。
※参考:「投資詐欺 弁護士」などの専門記事も、相談の判断材料として活用できますので是非あわせてご覧ください。
投資詐欺にあったかも?弁護士に相談する前に知っておきたいこと
今後の選択肢整理
返金交渉を行うべきか、証拠をどう保存するかなど、今後の選択肢を整理できます。
すぐに結論を出すのではなく、現状を把握するための相談として利用する方も多くいます。
精神的負担の軽減
被害に遭うと、不安や自責の念が強くなることがあります。
第三者に状況を説明することで、心理的な負担が軽くなる場合もあります。
冷静な判断を取り戻すきっかけになることもあります。
田中保彦法律事務所へご相談ください
ネット詐欺の被害は、一人で抱え込むと判断が難しくなります。
状況整理のための相談という選択肢もあります。
田中保彦法律事務所では、元自衛官として多様な現場で判断と向き合ってきた弁護士が対応し、相談者の状況に応じた丁寧なヒアリングを行っています。
全国対応が可能で、LINEでの相談にも対応しており、初期段階からの相談も可能です。
無理に方向付けをすることはなく、「まだ詐欺か分からない」という段階でも、経緯整理を重視した対応を行っています。
まずは状況を整理したいという方もご相談ください。
まとめ|ネット詐欺は「役割の違い」を理解することが重要
ネット詐欺では、警察と弁護士の役割が異なります。
警察は刑事事件としての捜査や被害拡大防止を担い、弁護士は個別事情に応じた整理や対応を検討する役割があります。
「動かない」と感じる場合でも、対応範囲の違いによるものが多く、早期に状況を整理することが重要です。
一人で抱え込まず、証拠の整理や相談を通じて冷静に対応を検討することが、次の一歩につながります。








