国際詐欺とは

国際詐欺とは、加害者が海外に拠点を構えている、もしくは「海外在住者や外国人を装っている」といったケースを含む、国際的な要素を伴う詐欺全般を指します。

被害者と加害者の間に国境が存在する、あるいはそう見せかけることで、詐欺であることを見抜きにくくし、追及や返金請求を困難にするのが特徴です。

たとえば、以下のような詐欺が国際詐欺に該当します。

投資型詐欺

海外のFX・不動産・仮想通貨などの投資を装い、高利回りを約束して出資金を集める

ロマンス詐欺

外国人を装い恋愛関係を築いた上で、生活費や医療費、渡航費などの名目で送金を求める

海外通販型詐欺

存在しない商品を販売するように見せかけて代金を騙し取る

在宅ワーク・アフィリエイト詐欺

海外企業を名乗り、高額報酬を約束して登録料や保証金を請求する

このような詐欺の多くは、連絡手段にLINEやWhatsApp、Telegramなどを使用し、最初から日本国内の法制度の網をかいくぐるように設計されています。

また、相手が「海外在住である」と信じ込ませることにより、身元確認を曖昧にさせ、疑念を持たせないという心理的な効果も狙われています。

なお、加害者が実際に海外に居住しているとは限らず、日本国内に拠点を持ちつつ「海外を装う」ことで、国際詐欺の形式を取っているケースもあるため注意が必要です。

なぜ今「国際詐欺」が増えているのか

国際詐欺の増加には、いくつかの社会的・技術的背景があります。
以下のような要因が複合的に絡み合い、詐欺の温床となっています。

1. オンラインで国境を越えた接触が容易になった

SNS(Instagram、Facebook、X)、マッチングアプリ(Tinder、Bumble)、ビジネスチャット(LinkedInなど)などの普及により、海外在住者(またはそれを装う人物)と日本国内のユーザーが簡単につながれる時代となりました。

これにより、詐欺師側はリアルな接点を持たずにターゲットへアプローチできるようになりました。

2. 自動翻訳ツール・AIの進化で言語の壁が低くなった

Google翻訳やAIチャットのような自動翻訳ツールの精度向上により、詐欺師側が日本語でスムーズにやりとりできるようになっています。

過去に比べて「外国人なのに日本語がうまい」ということに対する不審感が薄れ、よりリアルなコミュニケーションが可能になっていることも詐欺成功率を高める要因となっています。

3. 匿名性の高い決済手段の普及

仮想通貨(特にビットコインやUSDTなど)やオンライン決済サービスを利用した送金が一般化するなかで、資金の受け渡しが「誰に」「どこに」されたかを追跡する難易度が高まっています。

詐欺師にとっては、資金の流れを不透明にすることで摘発リスクを回避しやすくなっているのが現状です。

4. グローバル化による警戒心の低下

ビジネスや恋愛、情報収集の場面で「外国人との関わり」が当たり前になっている現代では、以前ほど「海外=警戒対象」という認識が薄くなっています。

これにより、初対面の相手が海外在住であっても、警戒心を抱かずに信用してしまう傾向が見られます。

国際詐欺の主な手口と形態

ここでは、特に日本国内で多く報告されている国際詐欺の代表的な手口をご紹介します。

投資型詐欺

「海外の新興企業に投資すれば高利回りが見込める」「FXの自動売買システムで安定して利益が出せる」などと称し、巧妙な営業資料や専用アプリを用いて投資を誘導する手口です。

この手口では、初期段階で少額の配当を支払うことで被害者に「実際に利益が出ている」と思わせ、さらに高額な投資を引き出すのが常套手段です。

しかし、実際には出金申請が通らなかったり、追加の“手数料”を要求されたりし、最終的には運営者と連絡が取れなくなるケースが非常に多いです。

仮想通貨が関係するケースもありますが、あくまで“支払い手段の一つ”として利用されているにとどまるため、技術的・制度的な詳細に立ち入ることなく、被害の本質は詐欺的投資勧誘にあります。

国際ロマンス詐欺

FacebookやInstagramなどのSNS、あるいはマッチングアプリで外国人を名乗る人物からアプローチを受け、時間をかけて信頼関係や恋愛感情を築いた後、「病気の手術費が必要」「ビジネスがトラブルに巻き込まれた」などの理由で金銭を要求される詐欺です。

巧みに日本文化を理解しているような発言をしたり、日本語が上手だったりするため、相手に不信感を抱きにくく、長期間にわたって騙されてしまうケースもあります。

なかには、相手が軍人や医師、起業家などの“ハイスペック”を装っていることもあり、被害者は「自分が選ばれた」と思い込んでしまい、より深くのめり込んでしまう傾向にあります。

海外通販サイト/輸入ビジネスを装った代金詐欺

「海外製品を安く仕入れられる」「正規ルートの商材が手に入る」などと誘い、前払い金を支払わせたあと連絡が取れなくなるケースです。

詐欺師は実在しない商品や、発送されない商材を使って被害者を信用させようとします。

国際アフィリエイト/在宅ワーク風詐欺

「海外企業の広告を貼るだけで報酬が得られる」「ECサイトの商品を評価して報酬を得る」などと称し、最初に少額の報酬を支払って信用させた後、高額な“加盟金”や“業務管理料”を請求する詐欺です。

国際詐欺の被害に遭いやすい状況と注意すべきサイン

国際詐欺は、誰もが被害に遭う可能性がありますが、特定の状況や心理状態のときに詐欺に巻き込まれやすくなります。

恋愛・信頼関係への依存があるとき

孤独や寂しさを感じていたり、信頼関係に飢えているときに、詐欺師は「自分のことを本気で想ってくれる人」として登場し、心の隙間に入り込んできます。

メッセージのやり取りが日常化し、精神的に依存した状態で金銭のやりとりに発展するケースが典型的です。

情報リテラシーや国際取引経験の乏しさ

外国人や海外企業とのやり取りに慣れていない人ほど、「このくらい普通なのかもしれない」と不審な要求をスルーしてしまいがちです。

特に、事前に評判やレビューを調べる、正当な契約書があるか確認するといった“詐欺防止の基本行動”が取れないことが被害拡大の一因となります。

国際詐欺被害が起きたときのリスク・問題点

国際詐欺の被害に遭った場合、日本国内での詐欺とは異なる特有の困難があります。
ここでは、被害後の対応が難しくなる要因や、精神的ダメージについても整理します。

加害者が海外を装っている場合の追跡・回収の困難さ

国際詐欺の多くでは、加害者が「海外にいる」ように装って接触してきます。

連絡手段がSNSやメッセージアプリに限定され、使用される名前や写真も偽装されているため、実在の人物かどうかを見極めることが難しくなります。

また、資金の受け渡しについても、いったん国内口座で受け取った後、複数の経由先を使って資金を移動させることで、追跡が困難になります。

証拠保全や資金流れの追跡が難しい

国際詐欺では、加害者が意図的に証拠を残さないようにしているケースが多くあります。

例えば、チャットのやり取りは消える設定になっていたり、送金先として個人口座や第三者名義の口座、仮想通貨ウォレットが使われていたりするなど、足取りをつかみにくくしています。

こうした場合、送金記録や通信履歴を残しておくことが重要ですが、相手側が海外を装っている場合や複数国にまたがる仕組みを使っていると、証拠収集にも時間がかかります。

必要な情報を開示請求するには法的手続きが求められ、手間とコストがかかるのが実情です。

下心・信頼を利用された精神的ダメージ

国際ロマンス詐欺などに多く見られるのが、相手が恋愛感情や信頼関係を装って被害者に接近し、金銭を引き出すという手口です。

被害者は単にお金を失うだけでなく、「信じていた相手に裏切られた」という精神的なショックにも苦しむことになります。

「まさか自分が騙されるとは思わなかった」「信じていたのに…」といった自己否定感や羞恥心から、家族や知人にも相談できず、一人で抱え込んでしまう方も少なくありません。

これが被害回復の遅れにつながることもあるため、早期の相談が非常に重要です。

国際詐欺に遭ったらどうするか。法的対応と弁護士の役割

国際詐欺の被害に気づいた時点で、できるだけ早く弁護士に相談することが重要です。

早期に法的な視点から対応することで、被害の拡大を防ぐとともに、返金交渉の可能性を広げることができます。

加害者特定と国際的な追跡支援

相手の連絡手段、利用していたSNSやサービス、送金記録、取引履歴などの証拠を精査し、実態を明らかにする調査を行います。

必要に応じて国内外の関連機関との連携を図ることもあります。

返金請求や損害賠償請求の可能性

詐欺行為の証拠が揃っていれば、損害賠償請求を行う法的な手続きも視野に入ります。

国内に所在がある共犯者や受取口座が存在する場合は、そこに対して返金を求めることも可能です。

ただし、相手に支払い能力がない場合や、資金が分散されている場合は、実質的な回収が難しくなることもあるため、早期の対応がカギとなります。

まとめ

国際詐欺は被害の実態が見えづらく、対応が遅れやすいという特徴があります。

一見すると正規の取引や恋愛関係に見えても、その裏には巧妙に仕組まれた詐欺の構造が潜んでいることがあります。

「少しでも不自然に感じる」「支払いを求められて不安」と思った段階で、すぐに第三者や専門家に相談することが大切です。

田中保彦法律事務所では、国際詐欺の被害相談を受け付けており、証拠整理から返金交渉、法的措置までトータルでサポートを行っています。

被害を一人で抱え込まず、まずはご相談ください。
専門家の力を借りることが、被害回復への第一歩となります。