相談先として挙がる「調査会社」と「弁護士」

詐欺被害に遭った際、インターネット上では調査会社や弁護士が相談先として紹介されることがあります。
まずは両者の基本的な役割を確認しておきましょう。

調査会社とは何をする会社なのか

調査会社とは、依頼者から提供された情報や公開情報をもとに、相手方や関連情報の調査・分析を行う会社です。

近年ではSNS型投資詐欺やロマンス詐欺の増加に伴い、詐欺被害者向けの調査サービスを提供する会社も増えています。

弁護士とはどのような対応ができるのか

弁護士は法律の専門家として、依頼者の代理人となり法的手続きを行うことができます。

詐欺被害においては、被害状況の整理だけでなく、返金請求や相手方との交渉、訴訟などの法的対応が可能です。

また、被害回復の可能性や今後の対応方針について法的な観点から判断できる点も大きな特徴です。

なぜ両者が比較されることが多いのか

詐欺被害者の多くは、「相手の情報を知りたい」「お金を取り戻したい」という目的を持っています。

そのため、調査会社と弁護士が同じ相談先として比較されることがあります。

しかし実際には、調査会社は情報収集や分析が中心であり、弁護士は法的対応を行う立場です。

役割が異なるため、目的に応じて相談先を選ぶことが重要です。

詐欺被害における調査会社と弁護士の違い

最も重要なのは「何ができるのか」という点です。
詐欺被害への対応では、調査会社と弁護士の権限や業務範囲が大きく異なります。

調査会社ができること

調査会社が対応できる内容としては、主に情報収集や分析が挙げられます。

例えば、

  • 詐欺サイトの運営情報の調査
  • ドメイン情報(WHOIS)の確認
  • SNSアカウントの分析
  • 電話番号やメールアドレスの調査

などがあります。

また、公開されている法人情報の確認や過去の被害報告の収集なども行われることがあります。

さらに、被害経緯のヒアリングや振込履歴の整理、LINEやSNSのやり取りの整理、時系列表の作成など、被害状況をまとめるサポートを行う会社もあります。

技術的な分析として、サーバー情報やIPアドレスの調査を行うケースもありますが、あくまでも公開情報や依頼者が保有する情報をもとに分析を行うものです。

調査会社ができないこと

一方で、調査会社には法律上できない業務があります。

例えば、

  • 銀行への口座凍結要請
  • 弁護士会照会(23条照会)
  • 口座名義人への返金請求
  • 示談交渉
  • 和解契約の締結
  • 訴訟提起
  • 仮差押え
  • 強制執行
  • 被害回復分配金制度に関する代理活動
  • 相手方代理人との交渉

などは弁護士のみが行える業務です。

つまり、調査会社は事件を分析することはできますが、法的手続きや返金請求を代理で行うことはできません。

比較項目調査会社弁護士
被害状況の整理
SNS・サイト分析
公開情報調査
法的アドバイス×
返金請求×
示談交渉×
訴訟対応×
相手方代理人との交渉×
法的手続き全般×
被害回復を目的とした対応

調査会社に依頼するメリットと注意点

調査会社にも一定の役割はあります。
しかし、依頼する際にはその限界や注意点を理解しておくことが重要です。

被害状況の整理をサポートしてもらえる場合がある

被害経緯や振込履歴、SNSのやり取りなどを整理することは、被害者自身にとって大きな負担となります。
調査会社によっては、その整理をサポートしてくれる場合があります。

調査結果が得られる場合がある

公開情報をもとに調査を行うことで、サイト運営情報や関連アカウントなどについて一定の情報が得られる場合があります。
状況把握の参考になるケースもあります。

調査後に別途弁護士への依頼が必要になることもある

調査会社による分析や情報整理が完了しても、その後に返金請求や法的対応を進めるためには弁護士への相談が必要になるケースがあります。

そのため、最終的な目的が被害回復である場合には、最初から弁護士へ相談したほうが効率的なケースも少なくありません。

返金請求を目指す場合に弁護士へ相談するメリット

詐欺被害に遭った場合、多くの方が求めるのは「被害回復」です。
そのためには法的な対応が可能な弁護士への相談が重要になるケースがあります。

法的な観点から判断できる

詐欺被害といっても、事案によって状況は大きく異なります。

弁護士は証拠や送金状況などを確認したうえで、法的な観点から対応方針や回収可能性を検討できます。
早い段階で相談することで、取り得る選択肢を把握しやすくなります。

相手方との交渉を任せられる

被害者自身が相手方とやり取りを行うことは大きな精神的負担になります。

弁護士であれば依頼者の代理人として相手方との交渉を行うことができるため、依頼者が直接対応する必要がありません。

必要な手続きを一貫して対応できる

詐欺被害では、LINEやSNSの履歴、送金記録、サイト画面など様々な証拠を整理する必要があります。

弁護士は証拠の確認から請求方法の検討、交渉や法的手続きまで一貫して対応できるため、手続きが分断されにくいという特徴があります。

依頼後の精神的負担を軽減できる

詐欺被害に遭った方の多くは、不安や後悔、焦りを抱えています。

弁護士へ相談することで、今後の見通しや対応方針を整理しやすくなり、一人で抱え込まずに済むというメリットがあります。

早期相談によって選択肢を広げられる

詐欺被害は時間が経過するほど対応が難しくなる傾向があります。

証拠が失われたり、相手方との連絡が取れなくなったりする前に相談することで、対応の選択肢を広げられる可能性があります。

調査会社と弁護士はどちらに相談すべき?

どちらを選ぶべきかは、相談者の目的によって異なります。
ただし、被害回復を目指す場合には特に注意が必要です。

事実関係の整理が目的の場合

被害状況を整理したい、公開情報を調査したいという目的であれば、調査会社が役立つ場合があります。
ただし、調査結果がそのまま返金につながるわけではないことは理解しておく必要があります。

返金請求を検討している場合

被害金の回収や返金請求を検討している場合は、法的対応が可能な弁護士への相談が適しています。
請求や交渉は法律上、弁護士が行う業務であるためです。

相手との交渉が必要な場合

相手方との示談交渉や返金交渉が必要になる場合は、弁護士への相談が必要です。
調査会社は交渉の代理を行うことができません。

まず何をすべきかわからない場合

被害に遭った直後は、何から始めればよいかわからない方も少なくありません。
そのような場合でも、弁護士へ相談することで状況整理や今後の対応方針について助言を受けることができます。

迷った場合は弁護士へ相談した方がよい理由

調査会社と弁護士のどちらに相談するか迷う場合は、まず弁護士へ相談することをおすすめします。

なぜなら、弁護士であれば法的対応の必要性や調査の必要性も含めて判断できるためです。
特に返金請求を視野に入れている場合は、早期相談が重要になります。

《田中弁護士からのワンポイント》

  • 調査会社は主に情報収集や被害状況の整理を行う
  • 調査会社は返金請求や相手方との交渉はできない
  • 被害回復を目指す場合は弁護士への相談が重要
  • 詐欺被害は早期対応が重要である
  • 相談先に迷った場合は、まず弁護士へ相談することも有効
田中保彦弁護士のイラスト

まとめ|調査会社と弁護士。役割の違いを理解して相談先を選ぼう

調査会社と弁護士は似ているようで役割が大きく異なります。
特に返金請求や法的対応を検討している場合は、その違いを理解したうえで相談先を選ぶことが重要です。

詐欺被害は時間が経過するほど対応が難しくなる傾向があります。

被害回復を目指したい方や、何から始めればよいかわからない方は、一人で悩まず、できるだけ早い段階で弁護士へ相談することをおすすめします。