SNS投資詐欺の被害に遭ったら|返金・対処・相談窓口まとめ
SNSの急速な普及に伴い、「簡単に稼げる」「有名人もやっている」などといった甘い言葉で投資話を持ちかける詐欺が急増しています。
Instagram、LINE、X(旧Twitter)などといったSNSを通じて、一般人を装った詐欺師が巧妙に近づいてくるのが特徴です。
中には、芸能人や著名な投資家の名前を騙る悪質なケースもあり、被害額が数百万円にのぼることも珍しくありません。
しかし、こうした投資詐欺に遭った場合でも、対応次第では被害金の回収につながる可能性があります。
本記事では、SNSを利用した投資詐欺の代表的な手口や見分け方、実際にあった被害事例、被害に遭ったときの相談先などを詳しく解説します。
詐欺を未然に防ぎたい方、すでに被害に遭ってしまった方のいずれにも参考になる内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
SNS投資詐欺とは
SNS投資詐欺とは、InstagramやLINE、X(旧Twitter)などのSNSを通じて「確実に儲かる」などの投資話を持ちかけ、金銭を騙し取る詐欺のことです。
全国で数千件の相談が寄せられており、1件あたりの被害額も数百万円以上にのぼるケースが多発しています。
詐欺師は実在する有名人になりすましたり、偽の投資グループに招待するなど、SNSの匿名性や接触のしやすさを利用して信頼を得ようとします。
こうした手口は年々巧妙化しており、誰もが被害者になりうるリスクがあります。
詐欺の代表的な手口(DMでの勧誘、有名人のなりすまし)
SNS投資詐欺の代表的な手口は、大きく分けて以下の2つのパターンがあります。
著名人のなりすまし広告
最も多い手口が、実在する著名人の写真や動画を無断使用した偽広告です。
有名な投資家や経営者、タレントなどになりすまし、「この投資法で確実に利益が出る」「私も実践している」といった内容で信頼性を演出します。
広告をクリックすると専用のLINEグループに招待され、サクラが投資の成功体験を語ったり、偽の運用実績を見せたりして被害者を信用させていきます。
DMを使った直接勧誘
多くのSNSにはDM機能という個別に連絡を取る手段が備わっています。
詐欺師は魅力的なプロフィールを作成し、投資や副業に興味がありそうなユーザーに直接メッセージを送ります。
「投資コンサルタント」「成功した起業家」などを名乗り、「特別にあなただけに教える」「モニター募集中」といった限定感を演出して関心を引きつけます。
ターゲットにされやすい人物像
投資に興味を持つ50〜60代
男女比での差はないですが、特に50歳代〜60歳代の被害が多くなっているのが特徴です。
この世代は退職金や貯蓄があり、老後資金への不安から投資を検討する人が多いため、詐欺師にとって格好のターゲットとなりやすいのです。
SNSを日常的に利用する人
Instagramなどを頻繁に利用し、投資関連の情報収集をSNSで行う人は特に注意が必要です。
詐欺師は被害者のプロフィールや投稿内容を分析し、興味を引く内容でアプローチしてきます。
投資経験が浅い人
投資に興味はあるものの、十分な知識や経験がない人も狙われやすい傾向にあります。
「簡単に儲かる」「リスクなし」といった非現実的な話に魅力を感じてしまうためです。
詐欺グループが使うSNSと誘導先の特徴
下記が最初の接触に使われるSNSで代表的なものです。
- Facebook:中高年男性が多く利用しているため、男性被害者の勧誘に多用
- Instagram:女性ユーザーが多く、ライフスタイル投稿を装った広告が効果的
- X(旧Twitter):リアルタイム性が高く、トレンドに便乗した投資話を拡散
被害時の連絡に使用されたSNSはLINEが特に多く、他のSNSで勧誘した後、LINEに誘導するケースが多くなっています。
LINEが選ばれる理由は以下があげられます。
- グループチャット機能で複数のサクラが演技できる
- 既読機能で相手の反応を確認しやすい
- 日本人の利用率が高く、親しみやすい
- 通話機能で直接話すことで信頼関係を構築しやすい
最初は他のSNSで接触し、より密接なコミュニケーションが取れるLINEへと誘導することで、被害者との距離を縮めて信頼を獲得していくのです。
被害に遭ったときの初動対応
適切な初動対応を取ることで、被害金の回収可能性が大幅に向上します。
感情的になりがちな状況ですが、冷静さを保ち、段階的に必要な手続きを進めていくことが重要です。
パニックになって闇雲に行動するよりも、正しい順序で証拠保全と関係機関への連絡を行うことで、後の返金交渉や法的手続きを有利に進められます。
証拠保全の重要性と具体的な方法
詐欺被害において最も重要なのが証拠の保全です。
詐欺師は被害が発覚すると、すぐにSNSアカウントを削除したり、連絡手段を断ったりして痕跡を消そうとします。
保存すべき証拠一覧
- 相手とのやり取り全ての画面キャプチャ(SNS、LINE、メール等)
- 振込明細書や送金記録
- 相手から送られてきた投資アプリのスクリーンショット
- 偽の運用実績画面
- 振込先の口座情報(銀行名、支店名、口座番号、名義人)
- 相手のSNSプロフィール情報
- 投資話の詳細な経緯をまとめたメモ
スクリーンショットを撮る際は、日時が分かるよう端末の時刻表示も含めて撮影しましょう。また、相手に証拠隠滅を悟られないよう、保全作業は相手に気づかれないよう慎重に行う必要があります。
データは複数の場所に保存し、万が一端末が故障しても証拠が失われないようバックアップを取っておくことも重要です。
金融機関・関係機関への連絡
証拠保全と並行して、被害拡大を防ぐための緊急連絡を行います。
特に振込詐欺の場合は、時間が経過するほど資金回収の可能性が低くなるため、迅速な対応が不可欠です。
まず最優先で行うべきは、振込先の金融機関への連絡です。
詐欺であることを伝え、該当口座の凍結を依頼してください。口座に資金が残っている場合、振り込め詐欺救済法に基づく被害回復分配金の対象となる可能性があります。
連絡時に必要な情報
- 振込先の銀行名、支店名、口座番号
- 振込日時と金額
- 被害の概要
警察・消費生活センターへの相談
SNS投資詐欺の被害に遭った場合、まずは冷静に状況を整理し、信頼できる専門家に相談することが重要です。
被害の内容や金額によっては、弁護士による対応が必要不可欠なケースもあります。
警察への相談
最寄りの警察署や警察相談専用電話(#9110)では、SNS投資詐欺に関する相談も受け付けています。被害届の提出により、事件として取り扱われる可能性がありますが、民事的な返金対応については警察では対応できない場合が多いため、実際の回収を目指すには法律の専門家に相談するのが効果的です。
消費生活センターへの相談
消費者ホットライン(188)では、SNS投資詐欺を含む消費者トラブルの相談を無料で受け付けています。専門の相談員が被害回復に向けたアドバイスを提供してくれます。
ただし、民事的な返金交渉や加害者側への法的アプローチは行われていないため、実効性のある対応を求める場合には、やはり弁護士への相談が現実的な選択肢となります。
弁護士に依頼するメリット(交渉・返金請求・法的措置)
弁護士は法律の専門家として、被害者に代わって返金交渉から法的手続きまで幅広く対応できます。
特に高額被害の場合は、弁護士への依頼を検討する価値があります。
弁護士ができること
- 相手方への内容証明郵便による返金請求
- 代理人としての直接交渉
- 民事訴訟の提起と遂行
- 財産調査と強制執行手続き
- 振り込め詐欺救済法の申請サポート
弁護士からの請求は心理的プレッシャーが大きく、詐欺師が任意に応じる可能性が高まります。また、法的知識に基づいた適切な請求により、交渉を有利に進めることができます。
また、相手が返金に応じない場合、民事訴訟を通じて法的に返金を命じる判決を取得できます。
勝訴判決があれば、相手の財産を差し押さえて強制的に回収することも可能です。
弁護士選びの際は、詐欺被害や消費者問題に詳しい経験豊富な弁護士を選ぶことが重要です。
初回相談で、回収可能性や費用対効果について率直な意見を求めることをお勧めします。
弁護士に相談すべき判断ポイント
SNS投資詐欺の被害に遭った場合、弁護士への依頼を検討すべきかどうかの判断は重要です。
弁護士費用と回収可能性を天秤にかけ、経済的合理性を考慮する必要があります。
以下の判断ポイントを参考に、弁護士への相談が適切かどうかを検討してください。
被害金額による判断基準
100万円以上の高額被害 被害金額が100万円を超える場合は、弁護士への依頼を積極的に検討すべきです。弁護士費用を差し引いても、十分な回収額が期待できる可能性があります。
一般的な弁護士費用の目安
- 着手金:被害内容によって変動
- 成功報酬:回収額の10〜20%程度
例えば500万円の被害の場合、300万円回収できれば弁護士費用を差し引いても十分なメリットがあります。
相手方の特定可能性
相手の身元や連絡先が判明している場合
詐欺師の氏名、住所、連絡先が特定できている場合は、弁護士による返金交渉が有効です。
内容証明郵便による請求や直接交渉により、任意の返金を得られる可能性があります。
口座情報しか分からない場合
振込先の口座情報しかない場合でも、弁護士は法的手続きを通じて口座名義人の調査を行うことができます。ただし、他人名義の口座が使われている場合は、実際の詐欺師の特定が困難な場合もあります。
完全に匿名の相手の場合
相手が完全に匿名で、手がかりが全くない場合は、弁護士でも対応に限界があります。
この場合は警察の捜査に期待し、並行して振り込め詐欺救済法の利用を検討することが現実的です。
時間的な緊急性
資金移動の阻止が必要な場合
詐欺師がまだ資金を移動させていない可能性がある場合は、迅速な法的対応が必要です。
弁護士は緊急に振込先の口座凍結を要請することができます。
証拠隠滅の防止
相手がSNSアカウントの削除や証拠隠滅を図る前に、弁護士による証拠保全の申立てが有効な場合があります。
他の解決手段の限界
個人での交渉が困難な場合
詐欺師が開き直って返金を拒否している場合や、威圧的な態度を取っている場合は、弁護士による代理交渉が必要です。
複雑な法的問題が関わる場合
海外送金が絡む場合や、複数の金融機関にわたる取引がある場合など、法的に複雑な問題については弁護士の専門知識が不可欠です。
心理的負担が大きい場合
被害者自身が精神的なダメージを受けており、詐欺師との直接的なやり取りが困難な場合は、弁護士に全面的に委任することで心理的負担を軽減できます。
弁護士への相談を決める際は、初回相談で率直に費用対効果について質問し、現実的な回収見込みについて専門的な意見を求めることが重要です。
実際にあったSNS投資詐欺の被害事例
SNS投資詐欺は誰にでも起こりうる身近な犯罪です。以下では、実際に寄せられた被害事例を紹介し、手口の具体的な特徴を紹介します。
事例①:Instagram経由での海外投資話で150万円被害
知人のフォロワーを装ったアカウントからInstagramでDMが届き、「海外仮想通貨ファンドで月利20%」という誘いを受けて150万円を送金しました。
やり取りでは、「安心して投資できる」「本人もすでに利益を得た」と強調され、偽の運用実績のスクリーンショットも送られてきました。
1ヶ月経っても運用報告がなく、相手とも連絡が取れなくなったため、詐欺であることが判明しました。
事例②:LINEグループ内での投資誘導により200万円被害
ビジネス系インフルエンサーを名乗る人物がLINEで開いた「投資学習グループ」に参加し、信頼を得たタイミングで「必ず儲かる」という海外投資を勧められ200万円を送金しました。
グループ内では参加者同士の成功体験が次々とシェアされ、運営者は「自分も投資で人生が変わった」と語って信頼を集めていました。
入金後も「今は我慢の時」などと投資の継続を促されましたが、その後グループは突然解散し、相手とも連絡が取れなくなりました。
SNSで投資詐欺を見抜くポイント
SNS投資詐欺は年々手口が巧妙化していますが、冷静に観察すれば詐欺を見抜くサインが必ず存在します。甘い誘惑に惑わされず、客観的な判断基準を持つことで被害を未然に防げます。
以下のチェックポイントを参考に、怪しい投資話を見極めましょう。
非現実的な利益を保証する勧誘文句
投資詐欺の最も典型的な特徴が、リスクを一切説明せず利益だけを強調する点です。
「必ず儲かる」「100%成功」「損失なし」といった表現は、正当な投資では絶対に使われません。
詐欺でよく使われる危険なフレーズには、「月利20%が確実に得られます」「あなただけに特別にお教えします」「今だけ限定、明日まで」「リスクゼロで確実に利益」などがあります。
正規の金融機関であれば、金融商品取引法により必ずリスクについて説明し、「元本割れの可能性がある」ことを明示します。利益だけを強調してリスクに触れない勧誘は、確実に詐欺と判断できます。
著名人を装ったアカウントの特徴
生成AIで本人の声を合成するなど手が込んでいますが、なりすましには必ず見破れるポイントがあります。
まず確認すべきは、その人物の公式SNSアカウントです。
著名人の多くは公式マークが付いたアカウントを持っており、DMで個人的に投資話を持ちかけてくる「著名人」は100%偽物です。
なりすましアカウントは、投資関係の投稿ばかりで本来の専門分野の発信が少ない、本人らしくない表現や知識レベルの違いがあるといった特徴があります。
怪しい画像はGoogle画像検索で他の場所でも使われていないか確認できます。
急かす手法とプライベートなやり取り
詐欺師は被害者に考える時間を与えないよう、「今日中に決めないと機会を逃す」「あと数名で締め切り」といった限定感を演出します。
正当な投資であれば十分な検討時間を提供するため、急かされる投資は避けるべきです。
DMでのやり取りを好むのは、第三者の目に触れず、他のユーザーから疑問や指摘を受けるリスクを避けるためです。また、アカウント削除により痕跡を消しやすいという理由もあります。
事前調査と第三者の意見活用
怪しい投資話に遭遇したら、必ずインターネットで評判を調べてください。
会社名や商品名、「○○ 詐欺」「○○ 口コミ」で検索し、消費生活センターや警察庁の詐欺情報も確認しましょう。
信頼できる情報源として、金融庁の登録業者検索、消費者庁や国民生活センターの注意喚起、複数の独立した口コミサイトがあります。
検索しても全く情報が出てこない「新しい投資法」も要注意です。
一人で判断せず、家族や友人、金融に詳しい知人に相談することも有効です。
詐欺師は「他の人には内緒にして」と口止めすることが多いですが、これも詐欺の典型的なサインです。投資詐欺を見抜くには、健全な懐疑心と情報収集が不可欠です。
よくある質問(Q&A)
SNS投資詐欺に関して、被害者の方々から寄せられる代表的な質問とその回答をまとめました。同様の状況でお悩みの方は、参考にしてください。
Q.SNS上で知り合った相手からの投資話、信じてしまったのですが詐欺でしょうか?
A.「必ず儲かる」「リスクなし」などの非現実的な約束をしている場合や、具体的な投資先の説明が曖昧で金融庁への登録が確認できない場合は詐欺の可能性が高いです。
明確な契約書面がなく、相手との連絡が取れない状況であれば詐欺と判断して早急に対処することをお勧めします。
Q.InstagramやLINEのやり取りだけでも証拠になりますか?
A.はい、SNSでのやり取りは重要な証拠として活用できます。
相手とのメッセージのスクリーンショット、送金明細書、相手のプロフィール情報などがあれば、警察への被害届提出や弁護士による返金交渉に十分活用できます。
Q.100万円以上の被害でも弁護士に相談すれば返金されますか?
A.弁護士への相談により返金の可能性は高まりますが、必ずしも全額回収が保証されるわけではありません。
相手の口座や身元が特定でき、決済履歴が追跡可能で、相手に支払い能力がある場合に回収成功率が上がります。
Q.詐欺グループが使ったSNSアカウントが消えてしまいました。対処できますか?
A.アカウントが削除されても、事前に保存した証拠の活用、振込先口座情報からの相手特定などの方法で対処できる可能性があります。
重要なのは相手とのやり取りを事前にスクリーンショットで保存しておくことです。
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まとめ
SNS投資詐欺の被害は急速に拡大しており、深刻な状況です。
「必ず儲かる」「著名人も推薦」といった甘い誘い文句に騙され、大切な資産を失ってしまう方が後を絶ちません。
しかし、被害に遭ってしまった場合でも、適切な対応を取ることで返金の可能性は十分にあります。
迅速な証拠保全と専門家への相談により、相当な被害金を取り戻すことができます。
最も重要なのは、被害に気づいた時点での素早い行動です。
時間が経過するほど証拠隠滅や資金移動のリスクが高まるため、「おかしい」と感じた瞬間から時間との勝負が始まります。
SNS投資詐欺は誰もが被害者となり得る身近な犯罪です。
しかし、正しい知識と適切な対応により、被害を防ぎ、万が一の際にも被害回復を図ることができます。
一人で抱え込まず、専門家の弁護士の力を借りながら問題解決に取り組むことが、被害からの早期回復につながります。





